消費税8%時代の知恵

消費税がとりあえず8%になる。大変なこと。平成元年(竹下内閣のとき)3%。平成9年(橋本内閣のとき)5%。一貫して景気が悪くなっている。
ちなみに平成9年の税収は約54兆円、歳出は77兆円。今やそれが税収41兆円、歳出95兆円。
消費税は企業が間接的に納税するが、最終的負担は消費者というのは真っ赤なウソ、消費税が導入されてから一貫してデフレ。物価は下がり続けている。つまり消費者は、消費税の負担をしていない、と云えば言い過ぎやろか。
事実、消費税は事業者が負担し納付している。
20年ほどの間に小売業が大きくなった。大手スーパー、コンビニ、電機屋、この現象をどう見るか。
殆どが東京資本。お金は東京から出て東京に帰る。地方におけるこれらの店舗は、どこからか商品を入れ、地方への貢献は、若干の雇用を発生させ、若干の地方税を落とすことでしかない。小売業が大きくなった結果、力が強くなり産業の頂点に君臨。小売価格を上げることなく、下を叩く。そのしわ寄せが中小企業にくる。切羽詰まって海外生産となる。
消費税が10%になれば、野菜を作っている農家は、市場を通すことなく、自ら消費者に売るだろう。価格競争力は最初から10%もある。買う方も10%安く買えることは魅力的。
消費税が地下に潜ることになれば、連れて所得税も法人税も地下に潜るだろう。「国に政策があれば民に対策あり」、「苛政は虎よりも猛し」。この二つはいずれも中国のもの。今日のように中国が身近になった今、そのうち日本も中国化する。
いや、もうしてるかも知れない。街からタバコ屋、酒屋、雑貨屋が消えた。市場経済主義は原理主義。
消費税と市場経済主義は実にウマが合う。小売業が大手に収斂したのはそのため、消費税は大手から回収するのが合理的なのだ。そうして中小企業は滅びるのである。中小企業が滅びれば、多くは給料が下がり、あるいは職を失う。やがて大手小売業も潰れるだろう。土地を買い漁って潰れたダイエーのように。
会計の分野でもIFRS(国際会計基準)の流れがある。アメリカが導入を控えているため、日本も様子見をしているところ。このIFRSも矢張り原理主義。原理を入れれば文化は崩壊する。税制は国の文化、その文化を活かすような税制を考えろ。むやみやたらと捕ることしか考えない。知恵者はいないのか。
再生するにはどうすべきか、岡田知弘京大教授(自治体問題研究)によれば、湯布院は外部資本を規制しながら、地域内での産業関連の構築を意識的に進めているとのこと、土産物店、美術館、ギャラリー窯元、建築関係、風呂専門など、重層的にお金を回しているのである。同じことは美濃加茂の陶器についても云える。地域が知恵を出し、一致協力することやな。東大阪の企業が協力し合い、地域ブランドで最新の洗濯機を作る、というようなことがあってもいいのではないか。しかし中小企業が我先に海外を目出す状況では、ま、無理やろなあ。