35コストをどう考えるか(4)

 8月30日に「中小企業経営強化支援法」が成立しました。

 内容は税理士等が経営計画の策定をお手伝いして、頑張ろうとしている企業と海外展開する企業に、融資を付けようというものです。

 この法律は議員立法ですが、政治家と公務員が、いかに駄目かの標本みたいなものです。

 安易な融資が、中小企業の経営をどれだけ駄目にしたかの反省がありません。

 それが80兆円という、回収不能額になっているのです。また海外展開を支援するということは、日本においての製造は不都合があるというメッセージを国が出したことに他なりません。

 私としては、日本で頑張る中小企業製造業を応援していきたい、と考えているのですが、多分、平成25年度は残念ながら、中小製造企業を中心として倒産続出ということになりそうです。
しかし、これから発生する倒産劇は、これまで経営者が正当な評価を与えなかった、有能な従業員さんが、自ら独立を果たすという、派生効果を生むと思いますし、事実、そのような背景を基にした、税理士関与の依頼が私のところには来ています。

 会社経営というのは、経営者が方向を示し、社員を有能にして、働く喜びをとその福利に貢献し、勤勉な国民性を養い、最終目標は国を富ませることです。

 計数管理はそのためのツールであるということを、1人でも多くの中小企業の社長と共に考えていきたい、と思うのです。

 それに必要なのは、経営者の心構えであり、会社経営、製造現場における詳細な観察であり、会社経営における私ども外部サポーターということになります。

 中小企業というのは、組織がガラパゴス島の象亀のように発展してきており、経営体質に普遍性がないということも知っておくことが必要です。

 事業を承継した息子も、最初から社長を約束されているから、経営の勉強はしたわけではない。

 またそこに努める社員諸氏も、生活を立てることが目的であるから、経営などには目が向いていない。逆に考えれば、経営者が勉強家で、風通しがよく、社員に人間としての教育を施して大所高所から物事を考える人材を育て、その社風を持って人が集まるように仕向ければ、会社は繁栄の方向に自ずから舵をきることになります。