不況脱出大作戦~(14)理念経営方針の宣言
理念や経営方針、それに就業規則(たとえ従業者数10人未満であっても)などは作成をし、内外に喧伝をしておくべきです。
これらは、会社としての宣言文書ですから、経営上起きてくる紛争ネタを事前に封ずるだけでなく、企業の方向性を示すことで、例えば就業規則などは、従業員の行動の逸脱を防ぎ、規範性を持ち、それは経営者にとっても抑制として機能します。
また会社理念・経営方針で謳う場合、およそ次の3つが基本になります。
1企業の社会性、2その企業の扱う商材の付加価値への言及、3従業員の幸福。これら3点をしっかりと押さえなければなりません。
就業規則を公開することを嫌がる経営者というのは結構いらっしゃいます。従業員の権利や我儘を増長させるものであると捉えるからです。社長自らがどれだけ人格者を以って任じようとも、従業員の眼にはそうは映りません。生身の社長ほど怖いものはないのです。社員は社長の存在そのものに怯えています。
就業規則はそうした意味で従業員の権利を保護するためのものであり、かつ従業員に就業上の問題があれば、これを処罰するためのものなのです。就業規則を予定しないでおいて、従業員とのトラブルを「その場になってから考える」という、ことで対処するということも考えられないわけではありませんが、これでは、場当たり的な姿勢になってしまって、労使相互に不信感を醸成してしまいます。この意味において就業規則は労使双方にとって中立的立場を持つもので、一方的に労使いずれかを断罪するものではありません。
理念や経営方針も、企業の方向性を予め決めておくことで、社長以下従業員を含めて、その行動指針としての役割を果たしますから、会社の足並みが乱れることを防ぎます。これを外部に対して発信することで、会社の信用力にもなります。
理念や経営方針は勿論、社長が音頭を取って作成しなければ意味がありません。そこに経営者の思いやメッセージを託さなければならないのです。就業規則の作成にも、社長が参画すべきなのです。
就業規則は、他人に任せてしまうケースをよく見かけますが、従業員との大事な約束事として、これを社長が熟知していることは大事なことです。