不況脱出大作戦~(7)内なる国家感の醸成
明治政府の基本方針は五箇条のご誓文に始まりました。この御誓分は明治天皇が明治元年(1868年)に示した明治政府の基本方針です。
1広く会議を興し万機公論に決すべし。2上下心を一にして盛んに経綸をお
こなうべし。
3官武一途庶民に至る迄各其志を遂げ人心をして倦ましさらしめん事を要す。4旧来の陋習を破り天地の公道に基くべし。
5知識を世界に求め大に皇其を振起しべし、というのがそれです。
そして明治政府は、これに違わない国家を造りあげました。ところが戦後は個人の権利が全てに優先し、個人には国が敵であり、国民が尽くすべき対象ではなく、難癖をつけ、事あるごとに金を無心する対象でしかないのです。
国民の国家感の喪失は、徒にそこに留まらず、国民の連帯感を失い、人を孤独の淵に追いやりました。それでも戦後の日本は、自由諸国と社会主義諸国との冷戦構造の中で、漁夫の利を得て、それが恰も、世界の真実のごとき錯覚の中で、何とか上手くやってきたのです。
それは、日本にとっては本質ではなく蜃気楼でした。戦後の経済成長は行き着くところまで行ったのだから、日本のモデルとすべき国は、もうない、などのたわけを聞くことがあります。とんでもないことで、日本のこれからは日本の歴史の中にあるのです。
これこそが温故知新でなくてなんでしょう。我が祖国、日本の粗探しをし、それが正義であるというような、風潮は一日も早く去らねばなりません。東日本大震災は、過酷な試練を国民に与えましたが、同時に日本人が本質的に持っている、国家や家族に身を捨てることを厭わないという、品性を確認することができたことは大いなる収穫だったと思います。再びの事業の発展も、この日本人の心性に宿っているのです。