不況脱出大作戦~(8)自主独立ということ

今の企業家は大手から中小企業に至るまで、どうしたら儲かるのか、しか考えていません。利益の最大限を図り、コストを最小限に抑え、とにかく多くの受注を得て、多くの利益を出すことに没頭しています。そのような生き方が、昨今の不況の中で、更に仕事を減らしているように見えます。
下請企業が苦しんでいるのは、過剰なまで受注先に密着して、経営を悪くしているのです。多量に注文をもらえれば、こんな楽なことはありませんが、今や大手は生産を海外に求めています。下請けに出すのは少ロットの部品であったり、あるいは試作品であったりしています。
まず企業が考えるべきことは、自主独立ということです。自主独立で大事なことはまず精神です。鶏口となるも牛後となるなかれ、という諺がありますが、自主独立の精神こそ、人をして適当な緊張を与え、聡明になる生き方です。次に、飯の種を探さねばなりません。
下請メーカーであっても、自らの技術・知識で世に出る最終商品を探して研究しなければなりません。折角の技術の蓄えがありながら、それが最終商品として生かされていないのです。リーマンショック後、大震災があり、円高がありで、ここに来て、中小メーカーの景況感は更に悪くなりつつありますが、こうした流れになるであろうことは、既にある程度予見されたことではなかったでしょうか。
少し考えれば分かることですが、海外への安易な工場移転は、その企業をしてジプシー化する道でもあろうということです。戦前の日本は、満州の開拓をやってこの地を繁栄させました。また北朝鮮が第二次世界大戦の一時期、景気が良かったのは、戦前の日本のインフラが生かされたからです。
しかし敗戦で結局、全部取られました。時代に阿らず冷静な判断が求められる所以です。