減価償却費の話19.7.27(金)

減価償却費の計算方法が変わった。今までは残存価額を取得価額の10%とし、償却限度額を取得価額の5%として各年度に償却費の配分をすることになっていた。
この残存価額が10%で、償却限度額が5%という理屈が意味不明であったのだが、昨日、法人税法の大家山本守之先生の講義を受けて理解できた。
当初は残存価額も償却限度額も取得価額の10%であったらしい、が、経済団体が大蔵省に折衝して、この5%の償却限度額が設けられたらしい。たしかそれが昭和の38年とおっしゃったように思うが忘れた。
 これからの減価償却は耐用年数経過時点で備忘価額1円を残すのみとなった。定率法の計算も定額法の償却率250%と極めて簡単になった。
 定率法を採用して減価償却費を計算する場合、今までにはなかった概念であるが、「調整前償却費」と「償却保証額」という言葉が出てきている。
この調整前償却費というのは、定率法で計算してきた償却費が、ある年において定額法に切り替えた場合に、定額法で計算した償却費の額が定率法で計算した額を上回る年度をいう。償却保証額は、取得価額に償却保証率を乗じて算出した金額であるが、この算出金額が定率法に基づく通常の償却額を上回る年から、償却率が改定されることになる。
 リース資産も、平成20年4月1日以後に締結されるものについては、減価償却による費用配分が原則となった。リースし資産とそれに見合うリース債務が簿外に置かれることの弊害が正されたのである。
 これまでは巷間、リースが得か償却が得かの議論はあった。税務的には定率法を採用する場合は償却の方が得であったと思うのだが、今後リースについて償却をする場合は定額法のみに絞られたのであるから、もっぱら金融機関の与信枠を前提において、リースか購入かの選択を考えることになる。
 とまあ、以上のような減価償却の計算構造をこの欄でクドクド述べるのはふさわしくない。大事な点は、今回の改正はこれまでの硬直的な減価償却制度が、見直されてきつつあるということだ。平成20年の改正に向け、減価償却資産の使用の実態等について更に調査・分析を進め、法定耐用年数や資産区分をのみ直し、法定耐用年数や資産区分の見直し、法定耐用年数の短縮特例制度の手続き簡素化についての検討をしていくことになっているらしい。
税制が減価償却制度に止まらず、各企業の経営状態をより正しく反映し、経済実態に即して使い勝手のよいものになることが望まれる。

前の記事

資格の問題19.7.21(土)

次の記事

ゴミの効用19.8.4(土)