31 社員を社長のよき理解者に(2)
社長の指示命令は、ある場合は正しく、ある場合は間違っています。人は自らの誤謬にはなかなか気が付かないものです。
経営者には尚更この傾向が強い。なぜなら、経営者に進言をする人は社内にはあまりいません。
それにトップに君臨することの快適性が、目を曇らせているのも事実です。部下から尋ねられて、即座に指示命令を出す場合、その状況をど
こまで正確に掴んでいるか、ということも大きな課題です。トップが出した指示というのは、簡単には取り消しがききません。
誤った認識の下に出した命令は、誤った結果を 生みます。日常業務においては、社長は指示命令を出してはいけないのです。
ではどうすればいいのでしょう。社長は存在することで会社を導かねばなりません。
存在するだけで効果を発揮する社長の在り方とは、どのようなものでしょうか。
経営会議を開くことです。では会議を開いてそこで指示命令を出すのか、というとそうではありません。聴くだけの存在に徹するのです。
そうして会議の席上、会社の経営理念や、年度計画と大きくずれるような、方向になりそうな場合にのみ、助言をするようにするのです。
そこで問われるのは経営理念や経営方針です。
社長はその理念や経営方針が正しく守られているかどうかだけを見ていればいいのです。
社員が育っていない会社というのは、社長がいつも指示命令を出しています。それをすると、社員は育ちません。
社長依存症とでもいうべき状態となり、恒常化します。実はここに中小企業が伸び悩む原因の一つがあるのです。
では今日から会議を始めれば、明日から社員は育つのでしょうか。
それもありません。
社長、あなたは長い年月をかけて、社長のイメージを社員に植え付けてきたのです。
それは社長の責任なのです。一朝一夕に是正出来なくて当たり前。その社長のイメージを変えるには3年はかかります。我慢できますか。