節税のやり過ぎは企業の勢いを殺す
先だってある経営者にお会いしたとき、「やはり税金は納めな、あかんなあ」と、つくづくとおっしゃっていました。そのとおり、経営は勢いでするものです。この勢いを無くすと、存続はできません。
ところで節税は正しいのでしょうか。節税というのは、やり過ぎると、経営をおかしくします。例えば、少し利益が出たというだけで、車を高級車に乗り換え、あるいは生命保険に入り、交際費をふんだんに遣い、といったようなことです。こうしたことは、企業の勢いを殺ぎます。
故事にも「激水の石を漂わすに至るは勢いなり」あるいは「勢いに求めて人を責めず」とあります。
また人は霊性を持っていますから、節税に走り過ぎますと社員にもソッポを向かれます。社員からすれば、給料は据え置かれたまま、経営者が節税(節税はある意味、個人的贅沢)に憂き身をやつしているというのは、気持ちのいいものではありませんから、本気で働いてくれなくなります。
社員も給料を貰うからだけで働くわけはなく、企業の社会貢献を意気に感じて働いているのですから、その気を殺いでしまいます。それに節税というのは、キャッシュを失うことです。1千万円の利益に対して400万円の税金が課税されるとしても600万円はプールされます。
ところがこの1千万円を使ってしまえば、なるほど400万円の節税は可能になりますが、1千万円が丸々会社から消えてしまうのです。このような分かりきった話が意外と通じないのです。私のクライアントでも、昔、節税などあまりせずに、多額の税金を納めていた建設会社は10数年続く不況下でも安泰です。では脱税をすれば、お金を残るのか、脱税をしてセッセと貯めれば残るかも知れません。
しかし社長様、それは犯罪ですよ。何よりもあなたの人相が悪くなり、電話が一本鳴っただけで神経がピクリとして、仕事が手に付かなくなりますよ。
ある日、突然国税に踏込まれて、社会の信頼を失うことにもなるかも知れない。企業経営で問われるのは、バランスです。節税一本槍の税理士など、「百害あって一理なし」、今すぐ解任しましょう。