不況脱出大作戦~(20)褒めることはいいことか

「やって見せ、言って聞かせてさせてみて、褒めてやらねば人は動かじ」これは山本五十六元帥の言葉です。人を使う場合、言っただけでは駄目で、自らがお手本となり、そのやり方を見せ、従業員にやらせてみて、そのとおりできたら誉めてやる。そうしなければ人は動くものではない、ということです。
ここでの人を褒めるというのは、仕事に自信をつけさせるため、ということであって、その成果を賞賛するということではありません。では成功の報酬として人を褒めるのはいいことでしょうか。例えば、営業社員が新しい得意先を開拓してきたような場合、これを褒めるのは正しいのでしょうか、ということです。「褒め殺し」という言葉があります。ここで言う褒め殺しは、おだてることであったり、口先だけのお世辞をいうことを指しています。
褒めるのであれば、真心を込めて称賛し、あるいは金一封とともに他の社員の前で表彰をし、又は昇給を伴うということでなければなりません。社交辞令のように形に嵌めたもの言いで、いつも褒めているのでは、その真意を疑われます。そのような褒め方は結局、社員のモチベーションを下げてしまうことになりかねません。
ある目的を持って、人をこのように仕向けたい、という褒め方は、効果がないばかりでなく、逆に褒める側の足元を見透かされて、褒めることで人を殺してしまうことになるのです。謂わば母親が子供を褒めて、結局腐らすようなものです。
従って褒めるという行為はあくまでも自然体で、素直に気づいたことを口に出すというのがいいように思います。褒められる方もしても、それまで自分でも気が付かなかったようなところを、指摘されて称賛されるのは、嬉しいことですし、それは必ずしも仕事の延長上にあるものでもありません。
余談ですが成果報酬(インセンティブ)として最初に給料をちらつかせるというのもいい方法ではありません。それでは給料分しか働いてもらえなくなります。仕事から生じる喜びというのは、給料の多寡や人から褒めてもらうこととは必ずしも結び付くものではなく、それをやり遂げたことや、社会に貢献できたことで自らの充実感を満たされるのが正しいのです。