倒産の時節

平成21年12月に成立した中小企業金融円滑化法の適用を受けた企業等の件数が、今年平成23年3月末現在で、158万件、金額にして44兆円を超えました。
 今年の4月以降は、東日本大震災に絡んだ、リスケの申し込みが増えてくるでしょうから、この件数と金額はまだまだ増えるものと思います。
 またこれらリスケの適用を受けたところは、そのまま破産予備軍でもありますから、今後は凄まじい倒産劇が起きてくるものと予測しています。
 倒産に伴う貸倒れによる損失をどのように防ぐのか、ということは、企業経営においては切実な問題です。
 このような時代ですから、売上の減少は防がなければならない。他方において、下手に売ると倒産に遭う。二律背反するジレンマに、置かれているわけです。
 場合によっては、理由をつけて売らない、という選択肢を持つことも必要かも知れません。
 また営業に携わる人は、売ることが使命ですから、どうしても注文を取ろうとします。売ろうとする熱意のあまり、ついつい、相手先の与信管理が甘くなりがちです。
 倒産を防ぐ、というのは大切な仕事です。例えば、ある得意先が倒産して500万円焦げ付いたとします。営業利益で見て、仮にその企業の営業利益率が5%なら、この500万円を稼ぐためには、1億円の売上げをしなければなりません。
 今必要なのは企業を挙げて、取引先の経営状態に通じることです。
営業担当者は勿論のことですが、総務経理にしても、売掛金の年齢、相手先からかかってくる電話の応対の仕方や、最近応接の人の声がよく変わるなどの変化の兆候を掴むことができますし、また配送に出た場合は、相手先の倉庫の整理具合に乱れがある場合や、従業員の表情、態度の変化など、明らかに士気が緩んでいる場合などは、注意すべきということになります。
 倒産にはその徴候が出てくることが多く、これを見逃さないことです。ただ徴候というのは、相当に注意をしていなければ見落とします。売らんがなの意志が強い場合、目が曇ぅている状態にありますから、尚更です。
場合のよっては、銀行を通じて、帝国データバンクなどの企業データーを入手することも意味のあることです。
 それが微細なものであれ、おかしな徴候がでたときは、必ず社内で、この情報を廻さねばなりません。この度の東日本大震災でもそうですが、準備万端を整え、日頃から訓練をしていたところは、津波のよる死者も少なかったようです。この準備が不十分な地域では多くが亡くなっています。
 ただ必ずしも、徴候や噂が出てくるわけでもありません。順調に行っているところでも、連鎖で、不渡りを掴まされて突然死することもあります。従って個々の企業にのみアンテナを張るのではなく、その業界の動向にも目配せが必要です。
常日頃から企業ぐるみでアンテナを高く掲げておきましょう。一旦、企業倒産の情報が入った後では、術がありません。
 その倒産の情報が公になる前に、納めた商品や製品を押さえに行く、という際どい方法もあるようですが、しかしそのようなことをすれば、今度は自社の評判に疵か付くことにもなりかねませんので、あまりお薦めはできることではありません。
 また事前の予防策としては、取引先ごとに与信枠を設けておくことや、取引基本約定書などを作って、相殺の条項などを適宜謳い、取引先と交わしておくことも大事です。
 できれば事前に、取引先の決算書など入手できれば、それに越したことはありません。
また会社法では、企業の決算書(貸借対照表及び損益計算書(中小企業は貸借対照表のみ))の公開(会社法440条)を義務付けられていますから、ネットなどを丹念に探れば、取引先企業の決算書を入手できる可能性が無きしも非ず、です。
 ただ決算書は公開が義務付けられてはいますが、公開しているところは本当に少ないのも実情です。また、公開されていたとしても、必ずしもそれが正確なものとは限りません。
 倒産時には、具体的にどのような徴候が出てくるのか、やばい会社のチエックの仕方ということについては、またの機会に譲ります。
 くれぐれも、倒産には注意をして頂きたい。またこうした勉強会(=倒産の兆候をどのように見分けるか)も、出張でやらしてもらっていますので、いつでも連絡を下さい。