国に政策あれば、民に対策あり
今回の税法の改正で、国民生活に大きな影響を与えそうなのが、相続税法の改正です。
消費税が当初導入されたのは平成元年でした。うろ覚えですが、所得税の税率が下がったのはこの時期です。確か消費税の導入とセットで所得税の税率も下がったように記憶しています。この頃、相続税も廃止したらどうかというような論調も巷間では見られました。ところがここに来て、所得税の税率が上がり、また相続税も大幅な税額UPの改正となりました。
しかし今回の相続税改正を子細に見てみると面白いことがあります。
20歳以上の人が直系尊属から贈与を受けた財産に関しては、超過累進税率の区分が、贈与額1,000万円以下の区分に関しては下がっているのです。
このような税制の改正は、過去にもありました。どの程度、使われているのかは分りませんが、「相続時精算課税制度」がそうなのです。
相続時精算課税制度は、20歳以上の者が、65歳以上の直系尊属から財産の贈与を受けた場合、原則として2、500万円までは、相続時まで課税を延期するという制度なのです。この制度ができたのは平成15年ですが、成立の背景というのは、お上が温情で作ったものではありません。
日本の不況感は平成15年当時もあり、小金持ちがこの制度を利用して資産を子供に回せば少しは内需が活性化するだろうということで作られたものなのです。
当時、政府はこの制度を作るに当たって、仮に相続が発生しても、そもそも相続税が係るか係らないかのボーダーライン上にある人を対象にしました。
もともとの大金持を対象としたわけではありません。まあ少し、相続時精算課税制度を読めば分かることですが、大金持なら決してこの制度を利用することはありません。
今回このように特定の贈与について贈与税の税率を下げたのも、相続税を上げることで、その対策として、民百姓の生前贈与を促し、内需に寄与してくれるんと違うんか知らん、といういじましく考えたからに他なりません。
日本だけがデフレが続くのは、アメリカの陰謀で小泉政権当時に市場経済主義を入れたからという説もあり、はたまたお年寄りが増えて生産人口が減った割には、企業の生産力が落ちていないからだ、という説もあります。
私は、これ以外の理由として、政府が頼りないから、将来が不安でお金を使わないのではないかと思うのですが・・・。