税制論議

今までもこのコーナーで同じようなことを書いてきたと思いますが、何度でも書く。
管内閣も解散含みとなってきたから今度の税制改正法案が通るかどうかが俄かに怪しくなってきました。
 もし今回の改正案が通れば相続税も上がります。今、街ではこの相続税改正に絡んでお金持ちへの税理士セミナーが活況を呈しています。
 相続税は税収としてはそう多くはありません。消費税の税収が年10兆円程度ですが、相続税は年間1兆円程度で推移してきています。納税者は100人亡くなって4~5人程度。
 これが今回の改正で年間の相続税税収が1兆3千億円程度となり、従って納税者も若干増えることになることでしょう。
 大金持ちは別にして、1億円程度の財産を残し相続人が3人程度であれば、その相続人の構成にもよりますが、多くて600万円程度になるだけです。
配偶者の税額軽減措置などが上手く使えるのであれば、場合によっては無税に近くなりこともあろうかと思います。
しかし一般的には財産を残したら相続税で持って行かれる、と思っている人が多いわけで、心裡衛生的にはよくない税制です。むしろ相続税は無税にするぐらいがいい。日本の安全は世界的に定評があるのですから、相続税が無税になれば世界の金持ちが日本に生活の本拠を移すかも知れない。その方がどれだけ内需に拡大に寄与することか。
また消費税の増税は、大いに問題がある。現在の小売業者は大手ばかりですから、仮に5%増税されれば、大手小売業は物価へ価格転嫁を抑えるべく、海外からの調達に頼り、或いは国内メーカーを叩くことになります。そのシワ寄せは中小企業に行くことになる。
従ってそれは中小企業で働く、従業員の給与の低下となって現れる。
消費税は付加価値税ですから、当然に流通過程の利益を圧縮し、企業の利益まで落としてしまい、結果として法人税税収は落ち、消費税も税率が上がった分がすべて税収に転嫁することはありません。
思い出してください。消費税が導入されたのは平成元年ですが、当事の景気がそれを境に悪くなったのです。橋本政権が3%を5%にしたところ、やはり景気は下振れしました。
日本の場合、税制いじくって税収を上げるということは、既に限界に来ているのではないでしょうか。
税制を考えるならこれを、日本の進むべき方向を議論し、これを示して日本人の文化からこれを構築することを考えなければなりません。
例えば子が親の面倒を見るような方式を考える。夫婦と子供しか住まないような家を建てただけでのローン控除は認めない。
三所帯住宅を建てたら減税をするとか、親の扶養の定義を糺して親の扶養をキチンとしたら所得税を大幅に減免するとかという政策を取るというようなことです。そうすれば、国や地方公共団体の負担も減ることになる。
 また自衛隊の予算を多く取って、兵器の充実を計れば、兵器を研究する過程で技術の蓄積ができて、それを民生に転用すれば、科学立国に寄与するであろうし、隊員を多く採用して失業者を減らせば、若人の教育にもいい。
子供手当や、失業手当、年金、生活保護なども減らせば、自助の精神が出来てくる。税収の増加も必要でなくなる。
国や地方公共団体の予算の中で一番多いのが人件費に決っているから、お役人の給与も最低2割は下げる。お役人は生涯の生活を保証されているのだから、少々下げても一向に構わない。それが出来ないなら、民間の優秀な人材をいつでも引き抜いて、徴用できるような制度に改め、肩たたきも自由に行えるようにする。民間は既にそうなっている。そうしてお役人の生産性を高めれば相対的にどれだけ、経費が節約できることか。
私の伯父が最近98歳で亡くなりましたが、町役場で勤めた期間が推定でおよそ30年、
55歳で停年を迎えて43年間年金を貰っていたことになる。勤めた期間より年金を貰っていた期間の方が長いわけで、これは社会主義国のすることである。
年金も期間を区切るべきである、と同時におまんま代が辛うじて負担できるくらいが丁度良い。お年寄りが社会参加できるような環境も整えなければならない。老成した知恵と知識を働かして、世に貢献してもらうのだ。旅行や山歩きなどに時間を費やしている図など見るに耐えない。
給食費も払わない親が増えているそうだから、給食制度を止めて弁当持参に切り替えろ。
昼飯が当らない可愛そうな子供ができる?。それがどうした。早い時期から世の不条理を経験することが、将来役に立つのだ。
税制は足らないからどこかで増税をしてそれを補う、という発想ではなく、税制は人造りと国造りとセット考えるということです。

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