会社の清算税務

会社の清算とは会社設立とは真逆のことで、事業を廃止して法人格を滅失することです。法務的には解散登記をし、清算事務を経て会社の抹消(清算)登記をすることをいいます。

法人税の計算は、損益法により通常収入金額から経費を差し引きして、その期の所得を誘導計算し、更に税務上の調整を加えて課税所得を算定し、税額が確定します。
しかし清算の局面では、この扱いが今までは異なっていました。

平成22年9月30日までに解散した場合
平成22年9月までは、清算所得は残余財産(資産を処分し、負債を支払って実際に残った 現金預金など)が解散時の資本金等の金額を超えていれば課税されることになっていました。
この清算所得の計算方法は簿記会計的には財産法といわれるもので、損益法とは対比されるものです。

 財産法による計算下では、清算所得の計算は、極端に言えば会計帳簿が不要でした。
また、解散し清算状態に入りますと、役員報酬をどのように取るか、すなわち定期同額給与などという考え方を飛ばして自由に支給することができたのです。
また、交際費の制限などもなく、とても計算がラクでした。

平成23年10月1日以後解散の場合
 新制度では、清算事業年度においても、損益計算書を前提に課税所得を誘導することになりました。財産法による、清算所得の計算では、過去の欠損金などは、ハナから考える必要はありませんでしたが、新制度のもとでは、その見返りとして、期限切れ欠損金は損金算入されることになりました。

新制度の下での完全子会社清算の留意点
(1)残余財産を金銭以外の現物資産で分配した場合には、子会社はその資産を帳簿価額で譲渡したものとみなされ、株主である親会社はその分配損益を計上しません。

(2)子会社の残余財産が確定した場合、親会社との資本関係が5年以上継続していることを条件に、子会社の青色欠損金が親会社に引き継げることになりました。

(3)会社が自己株式を取得した場合、資産の取得ではなく、株主に対する資本の払い戻しと考え、資本金を減少させますが、子会社を清算した場合でもこれと同様に考え、親会社は子会社株式の消滅損が計上できなくなりました。

前の記事

23年度税制改正大綱

次の記事

法人税の税率の改訂