紛らわしい法人の減価償却と償却資産税のハナシ

ごく日常的な実務でありながら、よく迷う減価償却の話をまとめてみました。
読んで頂き易いように、簡略化して書いておりますので、適用に当っては慎重にお願いします。

1法人の減価償却
(1)少額減価償却資産の取扱い
一括償却資産の損金算入(令133の2(1))
 内国法人が各事業年度において減価償却資産で取得価額が20万円未満であるものについては、3年間で均等償却をすることができます。
 一括償却というのは、それぞれ20万円未満の減価償却資産については、それぞれを区別しないでまとめて償却するということですから、一種の総合償却と考えて頂いて結構です。
 従って、一括償却資産の全部又は一部について滅失、除却、売却などをした場合でも、そのまま簿価を抜き出して計算するのではなく、一括償却を継続します。

 (2)取得価額が30万円未満(即時償却)(措置法67の5(1))
 中小企業者等が、取得価額30万円未満である減価償却資産を平成15年4月1
日から平成22年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができます。
但し、その合計額が300万円を越える場合は300万円が限度となります。

 (3)耐用年数が改訂された資産の耐用年数
 平成19年3月31日前に取得した減価償却資産で、耐用年数が改訂されたものにつ
いては、平成20年4月1日以後開始する事業年度からはすべて新耐用年数を適用しま
す。

2償却資産税の取扱い
(1) 取得価額20未満の取扱い
取得価額20未満のものであっても減価償却を行っている資産については、この償却資産税申告の対象になるので注意が必要です。
但し、法人税法で一括償却を選択したものについては、償却資産税の申告は不要です。
 ヤヤコシイ話です。

(2)即時償却をした場合
取得価額が30万円未満で法人において即時償却を選択したものについては、償却資
産として申告が必要です。
(1)と(2)を考え合わせれば、取得価額が10万円未満であっても個別に減価償却を実施したものについては、全て償却資産として申告に必要があるということです。

(3)耐用年数の改訂
平成21年度固定資産税には、改正後の耐用年数が適用されます。従って平成21年度償却資産の申告では、資産の取得時期や決算に関わらず、改正後の耐用年数で申告を することになります。但し当初取得寺まで遡及して再計算するものではありません。

(4)残存簿価
国税においては、償却可能限度額及び残存価額が廃止され、残存簿価1円まで償却できるようになりましたが、償却資産税における評価額の最低限度額は、取得価額等の5%が維持されていますので注意が必要です。

(5)特別償却等
 法人税で圧縮記帳、特別償却・割増償却の適用を受けたものであっても、償却資産税にはこの適用はありません。
 但し、法人税において増加償却の適用を受けたものについては、償却資産税についても同様の扱いなります。

(6)所有権移転外リース取引
 所有権移転外リース取引については、法人税においては「売買取引で処理されることになりましたが、償却資産税は貸主(リース会社)の負担です。

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