春は近いか
本日、難波は地下にある本屋さんを覗きました。金融危機に関する本が平積みにされておりました。これを見て今が不景気の大底ではないかと直感しました。モチロン、この直感は間違っているかも知れません。
アメリカのサブプライムローンの破綻に端を発した金融危機は、突然にやってきました。突然と言っても経済危機が来ることを予測した人たちは居なかったわけではありません。しかしそのような一握りの人というのは狼少年のようなもので、いつも世界や経済に対して悲観的意見を述べていましたから、世間からはあまり本気にされていなかったようなところがありました。
私のあて推量ですが、今のように、マスコミが悲観一色になるようなときというのは、そこが底と思って差し支えないのではないでしょうか。
思えばサブプライムローンの破綻は、突然にやってきたわけで、予測されなかったからこそ、重大な被害を世界に与えたのです。予測されていたものなら、誰もが早い時期に柔軟かつ敏速に対応していたものと思います。
しかし今が危機的であり、将来はもっと悪くなるかもしれない、というのが一般の認識ですから、このように悪い予想がでたときというのは、それを回避しょうと誰もが必死の努力をします。景気は今が底というのは、こうしたところからそのように思うわけです。
しかしそうは言っても、では明日から良くなるのかというとそういうことでもありません。少なくとも来春の3月ごろまではこの状態が続くと考えるべきです。
ところで「金融検査マニュアル別冊[中小企業編]」というのをご存知でしょうか。これは金融庁が公開している銀行検査の基準書です。
中小企業向けの緊急融には申し込みが殺到していますが、内実、本当に困っている企業にこの融資はなされません。
今回の不況は単なる不況ではなく恐慌であるとの考えもあるようです。経営環境が激変するなかで、新規の融資を仰ぐというのは勿論選択肢としてはないわけではありません。しかし金融機関からの融資を仰げなくなった場合には、どうすべきか。高利の金を借りて採算が合うようなまず商売はありません。
そのような場合、金融機関と交渉をして、今ある借入金の返済を当分ストップしてもらうというのが正しいやりかたです。こうしたことが「金融検査マニュアル別冊{中小企業融資編}」に記載されております。
私も今年の11月、ある会社からの依頼でその社長共々1日をかけて金融機関5行を回りました。用件は返済条件変更(リスケ)のお願いでしたが、5行ともすんなり話を聞いてもらうことができました。
この返済条件変更の中味ですが、銀行との交渉で、通常は向う1年ぐらいの間、元本の一部(場合によっては全部)の支払を猶予してもらうというものです。
ただ金融機関としては期限の利益を失うことになりますから、お金を貸した銀行の側からリスケの話は出てきません。あくまでも借りた側からのお願いということになります。「金融検査マニュアル別冊[中小企業編]」は金融機関としても監督官庁である金融庁から出ているものである以上、無視するわけには参りません。
問題がないわけではありません。民民の金銭消費貸借契約を公が行政指導でこれを枉げるというものですから、その矛盾が別の新たな問題を招来することは、当然考えられます。それはさて置き、この申し込みをする場合は、今後の経営計画や方針といったものが、重要となってまいります。同時に自社の強みや方向性といったものも俎上に上げて検討しなければなりません。
この金融検査マニュアルについては、その全体が意外と経営者の皆様に伝わっていないようにも思います。また御社のお客様が資金繰りに行き詰ったようなケースでは、このような方策があることを紹介して差し上げれば、御社に置かれましてもそれは好ましいことであろうと思います。
中小企業は本当に大変な状況にあります。この状況が3年も4年も続くのであれば、とてもじゃないが耐えられたものではありません。精神も肉体もそして経営もズタズタになります。しかしもうすぐ春が来るとしたらどうでしょう。ここ数ヶ月が踏ん張りどころと思いましょう。リスケはしないに越したことはありません。しかし時節柄、改めて皆様方にご案内する次第です。「金融検査マニュアル別冊[中小企業編]」は金融庁のホームページでご覧いただけます。
しかもマンガ入りで読みやすくなっております。