ファイナンスリース
ファイナンス・リース
平成20年4月1日以後に契約を締結する所有権移転外ファイナンス・リース取引から、賃貸借取引が禁止となりました。ただ税法は課税所得がどうかということだけが問題ですから、従来の扱いと本質的部分はあまり変わっていないように見受けます。ただ整合性を求めるという観点から、リース税額控除は廃止となりました。
中小企業の皆様がファイナンス・リースを組んだ場合の大まかな留意点は以下のとおりです。
ファイナンス・リースの一般的特徴
ファイナンス・リースとは、リース期間中の中途解約はできないリースのことで、物件の所有権はリース会社にあります。事業者(社)が組むリースは殆どが、これです。
ファイナンス・リースの特徴はおよそ次のとおりです。
1 金融がタイトで、金融機関の借入枠を空けて置きたい場合、すなわち、資金繰りに余裕がないようなケースでは、使い勝手がいい。
2 リース終了後に再リースの問題が生じる。中古であっても市場価値が高いような機械設備等では、リース終了後に買い取ろうとした場合、リース会社は時価での買取を要求してくる。時価があまりにも高くつくようなケースでは、再リースを何年も継続することになる。
3 リースの場合、費用の中に金利負担等、リース会社の利益も含まれるため、自己資金で買った場合と比較すれば余分な資金負担が要る。
4 リース(メンテナンスリース)が向く資産としては、自動車がある。自動車の場合、保険、税金、定期修繕、任意修繕、事故を起こした場合など、保有することによる、わずらわしさからリースの方が良い場合がある。
自動車の場合、再リースとなったところで、市場価値は非常に低くなっており、比較的安く買い取ることができる。
会計処理上の変更について
1 リース取引については、平成20年4月1日以後開始する事業年度から、売買処
理をしなければならず、従来の賃貸借処理はできません。
但し、リース料総額が小額(300万円以下)のリース取引、及びリース期間が1年
未満のリース取引については、例外的に従来の処理によることができます。
2 また貸借対照表には、「リース資産」として有形固定資産、無形固定資産の別に表示することになります。またリース債務についてはワンイヤールールを判断規準として、「未払金」または「長期未払金」で会計処理をします。
法人税法上の取り扱いについて
1 所有権移転外リース取引については法人税法においても、平成20年4月1日以
後開始する事業年度からは、売買処理をしなければならず、従来の賃貸借処理はできません。
2 従って、リース期間定額法により償却することになります。定率法での償却はできません。
3 特別償却はできませんが、特定の要件に該当すれば通常の税額控除はできます。但しリース税額控除は廃止となりました。
4 小額減価償却資産の取得価額の損金算入制度、及び一括償却資産の損金算入制度は使えません。
消費税の取扱その他
1 消費税については、売買取引として扱われます。従ってリース取引開始時にリース物件の譲渡があったものとされ、物件を取得した時点で税抜き処理をしているのであれば、その全額について仮払税額が発生します。
2 償却資産税の納税義務者は従来通り、資産の所有者です。
中小企業の留意点
売買があったとされるリース資産について、「賃借料」として損金経理をした場合、そ
の金額は償却費として損金の額に算入されることになります。つまり税法は会計処理
に関して、リース費用の総額を「リース資産」として計上することを、強制するものでは
ありません。しかし消費税は、取得時においてその全額を計算しますから、中小企業
においては注意が必要です。