私の乳歯は、虫歯だらけであったように記憶している。それが抜け落ちて永久歯に代わるのが小学校の低学年。抜けた上の歯は縁の下に放り込み、上の歯は屋根に放り投げた。なぜそうしたかは定かではないが、同じような記憶を持つ方はいらっしゃるだろう。
 さて生え変わった永久歯であるが現在50歳も半ばを過ぎて全部残っている。虫歯一つないと自慢したいがそうではない。
 最初の治療は20歳代後半の頃である。当時は健康そのもので、折角の健康保険書を一度は使ってみようと歯医者に飛び込んだところ、虫歯を発見され治療をされてしまった。
 しかし100%の健康を自認していた私にはこれはショックで、その後は歯磨きも丁寧にやるようになった。
 歯ブラシはいつも硬軟5種類ぐらいを使い分けているし、糸歯ブラシも常時使用している。
このところごちょっと無沙汰をしているが、歯医者さんでの歯の掃除も積極的に行くようにはしてはいるつもりだ。
 多少歯に異常と痛みを感じたのは親知らずを抜いてもらったとき、もう一度は歯と歯茎の間に物が詰まって腐敗し、鈍痛を伴って歯茎が麻痺したような感覚に襲われたときのことで、いずれも40歳台であった。
 多少問題はあるにしろ、歳からすれば私の歯は人並み以上の丈夫さであろうと自慢している。いや唯一自慢できるのが歯であると言えるかも知れない。
 なぜこのように歯の損傷が少ないかと考えてみても思い当たる節がない。
唯一考えられる理由は早食いかも知れない。大体5分以内で食う。殆ど歯を使わず飲み込んでいるといった方が正確か。そう言えば早食いも私の自慢の一つである。人様から早食いを指摘されるのが妙に嬉しいという変な性癖がある。お陰で胃の腑にいつも不快を感じ、しかも口内炎がよくできる。
 噛まないことに起因して内臓に負担をもたらしているのであろう。思えば祖父も父も癌で逝った。
 80歳で20本の歯を残すという運動があるらしい。そろそろよく噛むことを実践するか。また早食いを自慢するような歳でもなくなった。軽かったとは言えこの春には心筋梗塞をやり2日の入院を余儀なくされた。死は前からは来ず背後から忍び寄るのである。“命や先か歯や先か”では笑い話にもなるまい。