28税制から事業を考える(2)
消費税の問題点というのは、国内における商社、製造業、卸売業、小売業など、それぞれの流通過程における付加価値を削り、結果として、賃金を下げ、あるいは廃業し、場合によっては海外での生産を余儀なくされ、それらの結果として、失業者が出て、生活保護が増加する、という悪循環に陥れるところにあります。
日本において当分は、この流れが止むことはないように思います。では、企業家はどうすればいいのでしょう。前回書きましたが、消費税が上がるのであれば事業を地下に潜らせてしまえばいい、という発想は明らかに間違っています。私どもは日本という法治国家に生きているのです。
まともに国や事業を考える人間であれば、この選択肢は有り得ません。しかし小売業が一貫して製造までをする事業体というのは、例えば既に有名なところではユニクロがあります。逆に最近の流れとしてファブレス化、すなわちメーカーであっても自ら製造はしないで、下請業者に全てを負託してしまう、とうようなことも起きています。
また最近シャープが、台湾の鴻海(ホンハイ)に株式参加をしてもらうだけでなく、海外にある製造工場の一部も鴻海に売却するという話も出てきています。
こうなると、もう完全にある事業体からの撤退ということになります。勿論、こうした流れの全てが消費税に起因するものである、ということではありません。
そこには韓国や中国の追い上げ、という事実があることも見逃せません。この20年ほどの傾向として、全国チエーンのコンビニやスーパーなど、小売業者が大きくなりました。こうした業態の過当競争も、デフレすなわち小売価格を下げる要因として大きく寄与しているように思います。俗に「風が吹けば、桶屋が儲かる」といいます。
原因が複合して、デフレ経済となっているのですが、その大きな要因はやはり消費税にあるのであろう、というのが私の思いなのです。税制は一国の文化を創ります。中小企業もまあ暫くは、このような流れに身を置いて耐えることでしか、方法はないのでしょうね。
企業の海外展開が流行のようにも見えますが、果たしてどうなのでしょう。世界の各国にあって今の日本にないもの、それはナショナリズム。己だけが生きようとして、海外に出向くのであれば危ういのではないでしょうか。