不況脱出大作戦~(10)長期的な視点に立つ
経営計画を立てる場合、短期経営計画、中期経営計画、長期経営計画という具合に作るのが一般かと思います。短期経営計画は1年、中期経営計画は5年、長期経営計画は5年以上10年以内といったところです。
しかし昨今、経営環境は目まぐるしく変わりますし、長期的な計画は立ててもあまり意味がないと思われることもあり、私などが、頼まれて経営計画作成のお手伝いをする場合、通常は短期経営計画に終始しているのが実情といったところです。
それも職業柄、また私自身が企業内容に精通していることでもありませんし、数値目標のみが経営計画の内容ということになります。経営が安定している企業の経営計画は立てやすく、実際もほぼ予測どおりに進むことが多いものですが、経営が悪化していて、例えば金融円滑化法の適用下で、銀行の要請もあって短期経営計画を作成するような場合、計画倒れになることが多いものです。
業績を早く立ち直らなければ、倒産をするかも知れない、という焦りが誤判断を招くのだろうと思います。状態が悪くなると、その事業体から少し離れて客観的に観察ということが出来なくなるのです。中期経営形計画、長期経営計画といっても、その間の政治経済環境の変化や技術の進化へのイマジネーションが豊で適格でないと、基本的には短期経営計画の延長でしかないことが多いものです。
長期的視点に立って観察するということが、通常の経営計画が流行を追うものであるとするなら、視点を変えて、不易を考えるということです。およそ人間の嗜好や行動の裏にある、変わらぬものを見据えて、流行を追うということです。言い方を変えるなら、宿命と運命を考える、ということです。宿命とは、例えば現状の財務内容であり、過ぎ去った過去です。
これを変えることはできませんが、その中に現在に至った宿縁があり、それを見据えて、これからの計画を立てるのです。つまりこれからの運命を考え、今何をすべきかを箇条書きにして、行動を変えるのです。誰の行動を変えるのか、それは社長まずあなたです。
自分を変えようとしないで、社員を変えようとするのは、間違いです。しかし大概の場合、経営者は計画を立てて、従業員の行動を変えようします。そこに留まる限り、相変わらず経営は低迷したままで、二流の経営に終わるのです。