不況脱出大作戦(5)名誉心の涵養ということ

国会を観ていますと、今、与党は社会保障と税の一体改革をいい、野党は政権政党の人事の上げ足を取ることしか言いません。凡そ国家の名誉をどうするか、というような議論は絶えて聞きません。
北方領土問題、竹島問題、東シナ海における中国と軋轢、全て国益に絡む問題なのですが、これらを論じる風がありません。国体を整え、国の威厳を内外に示して、これを国の経営の柱にしなければならないのに、今や自民党も一昔前の社会党を髣髴させるような立派な野党になり下がりました。
翻ってこれを自らの経営に置き換えるとどうでしょうか。経営も名誉心から考えると意外と解りやすいように思います。赤字経営は社会に対して恥、倒産に至れば末代までの恥、良い製品を作らねばならない、という命題は、そうすれば受注が多くなり、より儲かるからではなく、顧客から信頼を得て、自らの名誉につながるから、という考えを持たねばなりません。
また名誉心は社長が持つだけではなく、社員にも共有して貰わねばなりません。遅刻、ダラ勤は恥、ということです。つまり労使一体となって、羞恥心を持たねばならない、ということです。
「菊と刀」を書いたルーズ・ベネディクトは、その中で日本人の気質を「恥の文化」と位置付けております。人は組織の中で集団を組んで生きるものであり、集団に規律を与えるのは仲間に対する羞恥心に他なりません。経営者は社会と社員に対して、社員は会社と仲間に対して、廉恥心を持たねばならないのです、羞恥心や廉恥心の裏返しが名誉心ですから。
企業の風土や文化は風上(トップ)から起こさねばなりません。まず羞恥心を涵養すべきは経営者から、ということになります。経営者というのは、あまりお金儲けの話はしないで、経営に対する動機が正しかどうかを問い、私心を払拭する努力をして、社会と社員に、自らの威光を示すべきなのです。