相撲協会の公益認定ということ

力士の携帯電話から勝ち星の売買をうかがわせるメールが見つかった、ということです。昨年の7月頃(夏場所)での話らしいが、今頃なぜ? と思わないでもありません。
 しかし、ここで陳べることは、力士の八百長の話ではなく、この公益認定ということについてです。もっともこの話、あまり一般的ではありませんので、公益事業を行っていない限り、あるいは会計を専門にしていない限り、世間の人が関心を持たれることは殆んどないでしょう。
 公益法人が行う事業に関しては、従来から法人税法において、主たる事業目的(公益目的)と公益目的以外の収益事業(例えば財団法人が行う営利を目的とした不動産の賃貸)とに別け、公益事業の利益は非課税とされ、収益事業の利益に関しては、一般法人と同じように課税(但し、低率)がされてきております。
 公益法人制度は明治29年に制定され、民法34条のなかにその基本骨格があります。この度の改正は、民間非営利組織の健全な発展充実という視点からの改正、ということになっておりますが、これが結構複雑なのです。
当事務所でもこの改正に伴う相談を現在いくつか受けております。
当方が受ける相談は、もっぱらこれから書きますように現在のどの事業が公益事業で、どの事業が収益事業なのかを経理区分し、【収支予算の事業区分経理の内訳表】・・・(いわゆる【別表G】)の作成に関してのお手伝いということになっています。

この改正の内容ですが、まあこれから新たに設立される公益法人は、新法に従って考えればいいのです。
問題は従来の公益法人に関してということになります。それは従来からの公益法人に関して公益事業の内容が新法に添うものかどうかを吟味して、一般法人への移行なのか、公益法人への移行なのかを検討しなければならないというところにあります。
つまり、その公益法人が現在営んでいる公益目的事業が、新法でいうところの公益目的事業になるのかどうかが問われるということなのです。
新法では公益目的事業に該当するものとして23の項目が列挙されています。さらに17項目のガイドラインが設けられ、その事業が公益目的かどうかが判定されるのですが、
この度の相撲協会の問題に関して書けば、この公益目的事業23項目のうち、
その2番目「文化及び芸術の振興を目的とする事業」、9番目「教育、スポーツ等を通じて国民の心身の健全な発展に寄与し、又は豊かな人間性を涵養することを目的とする事業」、
とあり、相撲に関しては、これらに該当するのかしないのかが問われることになるのでしょうね、
 さらにガイドラインの事業区分には、その16番目に自主公演(公演、興行、演奏会)が含まれています。このように相撲は公益事業として公益認定を受けられる要素を持っているのでしょうが、今回の騒動はどのように落ち着くのでしょうか。
 ただ野球もその他のプロスポーツも、基本的には営利を目的とするものであり、相撲だけが公益事業というのも奇異な感じがしないでもありません。

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