本日は会議

甲社の経営会議に入れてもらう。土曜日にもかかわらず、工場は機械がフル稼働。受注は多いのであるが、採算が落ちている。
TKC経営指標と比較して、材料比率が15%も高い。某大手の比率が高いから採算ベースの良いときでも材料費の割合は高かったのであるが、度重なる値引き要請と昨今の金属材料の高騰が採算の悪化に拍車をかけている。
 しかし昔からその某大手の専属で下請けをやってきたので、技術力は高い。
その技術力を生かして、他の社からの受注の機会を増やしたらどうかと思う。ISOは取るべき時期に来ている。遅すぎるくらいである。新規に取引をしょうとしたときISOのあるなしが、その大きな選定基準となるのは常識。
また、ホームページも製作すべき。今やHPは名刺代わりである。ISOもHPもないのは、社会から抹消して下さいとお願いしているようなものである。
 しかしHPを持っていないメーカーは結構ある。HPを製作する過程で自社の強みをもう一度検討し、それを抽出してアピールをするようにすればよい。
 この14~5年の間で大阪府の中小メーカーは数にして30%~40%は減っているのではないか。残っているメーカーであっても、この間にベテランが辞めて人材が枯渇し、なお設備投資ができていないから、景気回復に伴って受注は回復しても、技術面で、あるいは仕事量の面で、捌ききれない中小メーカーは相当に増えているはずである。
 甲社の幹部は10人ほどが集まった。明るい会社であることはすぐに分かった。雰囲気が暖かいのである。皆さんの目の輝きもいい。こうしたメーカーに必要ないわゆるチームワークの良さがすぐに見て取れた。発言に積極的な社員さんは4名程度、発言しない社員さんも熱心に耳を傾けてくれる。
 中小業の共通した欠点は、皆が現場に忙しいことである。今に追われてこれからを考える人がいない。社長自らが日常に忙殺されている。社会の変化を積極的に捉え、あるいは自らが変化を創り出して、社会を創造していく姿勢が見られないことが多い。
 現在、某大手からの受注が70%は占める。これを20%以下に落とさねばならないのではないか。甲社ならそれができる。社員さんは揃っているし、設備も十分な生産能力はあると思われる。何よりも某大手で培った技量は侮りがたいものがあるに違いない。
 ただ当面の課題として、材料仕入れに専属の管理者は置くべきであろう。現場の整理整頓をしっかりやれば、材料を重複して購入することもない。なにより工場内がすっきりする。原価管理をしっかりし、不良を出さないように工程管理をして、受注単価は変動費を確実に上回り、生産性も上げて、確実な経常利益を生むようにすべきである。生産現場にのみ人を投入して管理がおろそかになっていると見受けた。
 それと、HPの製作やISOの取得で、営業環境を整備すべき。同時に営業力も強化すべきである。
 技術力のある会社は、売り上げが落ちればさらに技術力に磨きをかけようとするが、これは間違いである。営業力を強化すべきなのだ。販売力と製造能力は同時の課題として捉えるべきである。
 一般的にみて、同業他社はここ10数年続いた不景気の中で、人と設備に起因して技術力は明らかに落ちている。関西で外注先を増やしたい企業も、今の下請けのそうした実情には困っていると思う。
 2時間ほどの会議に参加して、疲れたが楽しかった。しかし本日の会議、誰もメモを執っていなかったナ。これも中小企業の欠点である。せっかくの有用な会議の中身が、これでは生かされない。

前の記事

女の戦略

次の記事

男の堕落