名医の条件
(1)掛かり付けの医院に行ったところ、癌が発見された。毎月定期健診を受けていたから、発見されたのが早く、早速手術を受けることになった。
執刀医は、勿論その医院の院長である。長い間馴染んできたお医者さんであり、また癌の手術にかけては天下に名を馳せた先生であるから、手術に関しての心配は殆ど無かった。手術には10時間も要したが当初の予想どおり成功し、術後の経過も良く、1月経たないうちに通常の仕事に復帰できることとなった。
難しい手術が成功したことで、そのお医者さんの評判はまた一層高くなった。
(2)さて、もう1人のお医者さん、毎月健診にくる人に問診を施したところ、食事に偏りがあることがわかった。顔の色艶も悪かったので食事療法を試みるように指導した。
お陰でその人は癌に罹ることもなく、健康が維持でき、そのうち食事に偏りがあったことも忘れ、顔色も知らぬ間に改善をした。そしてお医者さんもその人も、食事療法したことさえ忘れてしまった。
(3)また別のお医者さん、ある定期健診にくる人の顔艶は決してよくなかったが、元気そうであったので、その日はそのまま返した。そんなことが2,3度続いたが、やはり何も気が付くことがなかった。そのうち自分の調子が悪いことに気が付いたその人は、次に医院を訪れたとき、調子の悪さをその医者に訴えたが、それでもそのお医者さんからは何の指示もなかった。いよいよ調子が悪くなって、お医者を変えたところ、既に手遅れの宣言を受けたのである。
さて、上記で一番お金儲けが上手いのは(1)の医者である。しかし本当の名医は(2)だろう。
税理士も似たようなものである。