27~税制から事業を考える(1)
平成24年8月10日、国会にて消費税が8%、10%と段階的に上がるこ
とが決りました。この影響が中小企業経営にどのように響いてくるかを、想定しなければなりません。
消費税の問題点がどこにあるかということですが、私は負担者と納税者が違うところにあると考えています。このような税金の取り方は、所得税の源泉徴収にも見られます。
源泉徴収制度は雇用する側が被雇用者から、所得税を預かり、これを国に納付するというシステムです。
源泉徴収は所得税の仮払いとして、労使関係という規律の中で行われるものです。
従って毎月の手取りが少なくなるから給与を上げてくれ、というような話にはなりません。ところが消費税は違います。
消費税は多段階課税になっております。
物やサービスが独立した経営体を渡るごとに課税売上と課税仕入の差額として計算して課税され、最終的には消費者が負担します。
この最終段階において、納付者(事業者)と消費者(負担者)の利害が対立していることに大きな問題が隠されています。
すなわち、消費者は同じものなら安く買うことができれば良いのです。
また昨今のことですから、ネット販売を含めどこからでも物が買えます。
そうすると事業者は消費税を価格に転嫁することなく、仕入値を低く抑えることで、売値も抑えようとします。
こうしたところから、物流に二つの大きな流れが生じてくると思うのです。一つは消費税が8%になり、10%になる過程で、経済は地下に潜るのではないかということです。
消費税が10%になったとして、もし消費税が無ければ同業他社に比べれば、10%の価格競争力があることになります。
消費税が地下に潜れば、法人税も所得税も地下に潜ることになります。
このような流れとともに、もう一つは小売業者が製造業者と一体化するようになるのではないか、と考えています。
このところの新聞紙面でも中小製造業においては、消費税の転嫁が上手くできないであろうことが書かれています。
それなら小売業者が製造業を吸収すればいいことになります。既に大手の小売業は自社ブランドを立ち上げる方向にあります