問題点
今の日本経済の状況は、本当によくありません。このような経済状態になった背景は、私の感じるところ直接的には三つあります。まず1つはプラザ合意、2つ目は故三重野康日銀総裁のバブル潰し、3つ目は消費税の導入です。
まず1985年のプラザ合意ですが、これによってドルに対し円が高騰し、円高不況が懸念され、日本においては通貨の過剰流動性が発生し、いわゆるバブルが発生しました。
1989年、日銀の総裁に就任した三重野康総裁が強制的にそのバブル潰をしました。
日銀は通貨政策を誤ってバブルを起こし、それを隠蔽するために当時の世論、すなわち不動産価格の高騰が生活格差を生む、というマスコミの喧伝に悪乗りしてバブル潰しをやったのです。この2つは共に日銀の金融政策の失敗です。これは日銀のマッチポンプです。
金融政策により不動産価格の沈静化を急激に行った結果、民間はその対処対策を打つ間がありませんでした。この不動産デフレは、不動産業者や金融機関倒産の原因となりました。この後遺症は現在も続いております。企業においてはバランスシート不況とでもいうべき、高い簿価の不動産価格が表示され、銀行債務の返済に未だに苦しんでいる、という状況が生じています。
1988年の年末、竹下内閣は消費税を導入し、1989年初頭からの実施となりました。また1997年、橋本内閣はこの消費税を5%にしました。 日本の経済のピークはこの1990年頃に終焉を迎え、少し経済が良くなりかけたとき、消費税が5%になったことで、その腰を折ってしまったのです。
実務家として消費税を観察したとき、次のような矛盾点に気が付きます。まず1つ、消費税は最終的には消費者が負担するということになっていますが、その実、事業者が計算し納付をしており、消費者は納付しておりません。2つ目は小売価額に税の表示がされないことです。3つ目は法人税が会計帳簿の上に乗っかった税制ですが、消費税も同様であり、この2つの税制は2重課税の疑いすらあることです。
税制は国家の文化を形成します。国家がこのような論理的整合性を持たない矛盾を孕んだ税制を施行していることは、多いに問題があります。いささか飛躍しますが、日本の乱れは消費税がそこに加担しているようのさえ感じます。そうした意味では、所得税を始めとして、税制というのは、歴史や生活習慣など、その国の文化を尊重し、その上に構築しなければなりません。しかし最近の政権政党にそのような自覚はないようです。
池田隼人首相でしたか、フランスからトランジスターのセールスマンと揶揄されたことがありました。当時は官民一体となって、日本の経済繁榮に寄与していたのです。 今はそうではありません。最近もエルピーダーが、外国資本の傘下に入るかも知れない事態に至っていますが、民主党政権は素知らぬ顔をしています。その癖、消費税を上げたいなどと云っています。野田首相は無税国家を唱えた松下幸之助の薫陶を受けたハズ。書いていて段々腹が立ってきます。これでは日本の経済など良くなるはずがありません。経済を論じる上で、経済現象だけを追いかけても意味がないのです。税制もそうですが国の成り立ちや文化、この辺りから総合的にかつ、深く考えるべきでしょうね。